こんにちは、もぞ太です。
旅、冒険、自然などをテーマにした本を紹介します。
今回は、五木寛之さんの「青年は荒野をめざす」です。
半世紀を経ても色あせない理由とは。
「青年は荒野をめざす」は、今から50年も前の作品です。
今なお読者を惹きつけ、読み継がれている理由は何でしょうか。
考えるに、「旅」という言葉が放つ、普遍的なパワーがその理由のひとつであるように思います。
レールに沿って年を重ねていくことへの疑問や、懊悩は、今も昔も若者の特権でしょう。
しかし、その疑問や懊悩に対する答えを自ら探し求め、行動力できる人間は、まれです。
年を重ねるごとに、青年期に抱いていた熱い感情は冷めてしまいます。
追いかけてくる日常をいなし、かわし、時に立ち向かいながら日々過ごす中で、ふと、この本を読み返してみました。
主人公ジュンの放つ圧倒的な瑞々しさが、40歳を目前にした私に、じんわりと熱を与えてくれました。
あらすじ
「ぼくの演奏には何かが欠けている」
ジャズトランペット奏者の主人公ジュンは、その答えを探す旅に出た。
平和で安定した中流家庭に生まれ育ち、特別な不幸を経験することも無く高校を卒業した。
苦労がたりないことが、自分のジャズがスイングしない理由なのか。
幸福な人間にはジャズは演奏できないのか。
働いて資金を貯め、20歳になったジュンは横浜港からナホトカ行の船に乗った。
戦後の空気感が濃いヨーロッパの街々でトランペットを奏で、半年間に渡り旅をして見つけ出せたものとは。
青年期の鬱屈した感情を爆発的に吹き飛ばし、爽快に駆け抜ける、冒険小説。
プロフェッサーの言葉
「若いときはことに、これでおしまいだなどと考えたがるものさ。だが、そうじゃない。人生は何度でも新しくなる。青春は、その人の気持ちの持ちようで、何回でも訪れてくるんだよ」(「青年は荒野をめざす/第七章 南ヨーロッパへの旅」より抜粋)
「つまりわしも荒野をめざす青年の一人なのだ。そうじゃないか、え?」(「青年は荒野をめざす/終章 新たな荒野を求めて」より抜粋)
コメント