やった。 坂本 達

こんにちは。もぞ太です。

旅、冒険、自然などをテーマにした本を紹介します。

今回は、坂本達さんの「やった。」です。

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有給休暇で世界一周

今から20年近く前、私はミキハウスの会社説明会に参加していました。

その会社説明会で坂本達さんの講演があり、この本と出会いました。

就職活動中だった私としては、何よりもまず、4年以上も社員に有給休暇を与える会社が存在することに驚かされました。

ミキハウスってどんな会社なんだ。坂本達さんってどんな人なんだ。

興味津々でその時の講演を聞いたことを、よく覚えいます。

一番印象的だったのは、坂本さんの優しそうな、人の良さそうな、おだやかな雰囲気でした。
死線を何度も潜り抜け、4年3ヶ月も自転車で世界を旅するようなガツガツゴリゴリした人には見えません。

しかし坂本さんには、会う人全てを笑顔にしてしまうような空気感がありました。

サラリーマンのまま旅立つという、普通ではありえないスタートラインに立てたこと、実際にその旅を成し遂げたこと。
坂本さんを多くの人が応援し、支えたからこそ実現したのだと思います。

坂本さんには周りの人を味方につける不思議な力があり、とても魅力のある人だと感じました。

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本の内容

アフリカ、アジア、北米、南米を4年3ヶ月かけて自転車で走る冒険の記録です。

アフリカではマラリアと赤痢を併発し、南米では高山病で死にかける。

度々起こるピンチも、現地の人々に助けられて命拾いし、旅を続ける坂本さん。

「人は生きているのではなく、生かされているのだ」という気づきを、身をもって体験しながら、ペダルをこぎ続ける坂本さん。

本書には数多くの写真が掲載されており、坂本さんが語った旅の出来事を、楽しく写真で眺める事ができます。
軽快な語り口とは裏腹に、写真には過酷な旅の様子が生々しく記録されており、いかに壮絶な旅であったかを教えてくれます。

世界43か国、55,000キロを走った中で出会った個性豊かな人々。過酷な自然。悲惨な歴史。友人の死。
出会いと別れを繰り返し、世界一周を果たすまでを綴った旅の記録。

私は、この本をはじめて読んでから20年近く経った今でも、時々本棚から取り出しては、パラパラっとページをめくり、坂本さんの飾らない文体に、にやにやと顔を歪ませています。

現在もサラリーマン冒険家として多方面で活躍されている坂本さんの、「やった。」を是非ご一読下さい。

坂本達の言葉

こういう厳しい環境では、人は助け合って生きるしかない。しかしそれは、人の好意に甘えるということではなく、あくまで自立が前提となる。でなければ、人を助けることはおろか、自分の命さえ守ることはできない。(146ページより抜粋)

どんな厳しい環境に暮らそうとも、なんの言いわけもせず、ピュアな心をもち続ける人たちがいる。そんな人たちに出会うたび、人は人として強く生きていかなくてはならないことを教えられると同時に、自分はちゃんと生きているか、という自問自答を繰り返すことになる。(204ページより抜粋)

4年3ヶ月前に日本を後にした時は、大海に漕ぎ出した小船のような心細さを感じた。しかし、4年3ヶ月たった今、未知の国を一人で訪ねるのも息をするように自然なことに思える。逆に日本に戻ることのほうが、再び荒波にもまれる小船の心境だ。(206ページより抜粋)

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